2011年9月19日月曜日

CEDEC2011雑感

CEDECからTGSへと続く強烈に忙しい2週間もようやく終了したので、ちょっとCEDECで感じたローカリゼーション関連の個人的なキーワードを2つメモしておきます。

1つ目は多言語開発において、ローカリゼーションがボトルネックになっていく可能性が高いのではないかということ。いまアンリアルやユニティなどのモダンなゲームエンジンを使えば、プログラマーが書いたコードをビルドするというステップを踏むことなく、ゲームデザイナーが直接ゲームエンジン上で素材を組み込み、ゲームメカニクスを検証することができます。

こんな風にオリジナル版開発の工程はどんどんシンプルになっていくことが予測されますが、ローカライズは別です。翻訳者がアセットを翻訳して、それをソースコードに組み込んで、ビルドしてはじめて、実機上で善し悪しが(文字のはみ出しとか)確認できる。これが言語分同時並行で進んでいきます。これはいまだに変わらないわけです。

そこでゲームメカニクスと同じように、ゲームをテストしながら直接テキストを修正して、内容が確認できるような、ローカリゼーションを内包したゲームエンジンができないか・・・。そうすることで、ローカリゼーションの工程がぐんと向上すると考えられます。ビジネスソフトでは、こうした機能を持つツールが荒削りながら存在するとのことで、おそらくゲームもそれに向かって進歩していくのではないかと思います。

第二にローカリゼーションパネルでも話題になった「ローカライズの品質を客観的に評価する手法の確立」について。今年のCEDECではソーシャルゲーム関連のトピックが増えたこともあって、「データマイニング主導型ゲームデザイン」の話題が多く聞かれました。もっとも、コンシューマ機もすでにネット対応になっていますから、その気になればプレイヤーのゲームプレイの情報を、逐一サーバ上に吸い出して、データ解析することが可能になりつつあります。

でもってパネル「世界の心をつかむスマートフォン時代のゲームとは」でグリーの田中社長が「KPIを解析して課金率を上げていくのが、運営側にとってのゲーム。ローカライズも同じで、KPIを解析して、各マーケットごとに内容を最適化していける」的な発言をされていて、非常に新鮮に感じました。この考え方を進めていくと、ローカライズの品質を客観的に図ることができるかもしれません。

PS Vitaがリージョンフリーになるという噂がネット上で流れていますが、もし本当だとしたら、ますますローカリゼーションの重要性が増すことになります。来年のCEDECではどのような議論が聞かれるのでしょうか?