2011年7月13日水曜日

ローカリゼーション軽視の背景

たまにゲームメーカー大手の偉い人と意見交換をさせていただくことがあるんですが、しばしばローカリゼーション軽視の発言が出て、ビックリすることがあります。その一方で海外市場重視なんて言葉が出てきて、うーんなんだこれは・・・と思ったりするわけです。

こうした背景の一つとして、今の大手ゲームメーカーの多くが、アーケードゲームで急成長したことがあるんだろうなあ、と感じるようになりました。格闘ゲームやドライブゲームが好例ですが、パッと理解して短時間でコインを消費してもらう必要があるので、家庭用ゲームよりもローカリゼーションの必要性が少なかったんだろうなと思います。

でも、今やアーケードゲームのインフラって、日本くらいしかキチンと残ってませんよね。。。海外向け輸出の主力商品はコンソールゲームで、じっくり遊ばせるものが中心ですから、やっぱりローカリゼーションが重要になってくるわけです。

もっとも、全部のタイトルで全言語にフルローカライズすることは、現実的ではありません。そしてローカリゼーションは利益を最大化するための手段であって、目的ではありません。そのため優れたローカリゼーションには、ビジネス的な視点が必要不可欠です。

一方でローカリゼーションの予算とヒットの相関関係は不明確です。そのためビジネス層としても、ローカリゼーションにお金をかける根拠が欲しい。それがハッキリしない以上、ドカンとお金をかけられない。卵が先か鶏が先か・・・みたいな話になっちゃいがちです。

もう一つ、オリジナル版開発については、これまでにもたくさんの開発者インタビューなどがあり、そこそこ業界内でノウハウが貯まってきました。一方でローカリゼーションについては、まだまだノウハウが一般化していません。限られた情報がローカリゼーション関係者内部で閉じていて、オリジナル版開発部隊にまで広まっていない現状があります。

今年のGDCローカリゼーションサミットでも、バイオウェアの講演者は「ローカリゼーション担当者は伝道師たれ」と力説していましたが、もっともっと存在感と有益性をアピールしていかなければ、なかなか状況は変わっていかないでしょう。

ローカリゼーション担当者には大きく「パブリッシャーのローカライズ担当者」「ディベロッパーのローカライズ担当者」「ローカリゼーションベンダー」「フリーランスのゲーム翻訳者」の4レイヤーがあります。中でもパブリッシャー、ディベロッパー内のローカリゼーション担当者が、もっと伝道師として社内で働きかけていくことが、ビジネス層を動かしていく重要な要素になるのかなあと思います。

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